社労士通信

会社設立にかかる税金の種類や算出方法を分かりやすく解説

2021年10月15日

会社設立にはいくつもの税金がかかります。法人税、法人事業税、法人住民税、消費税および地方消費税、自動車税や固定資産税などを納めなければならず、それぞれの税金によって税額の算出方法が異なります。資本金や出資金の金額などによっても税率が異なるので、会社に適用される税率や税額をよく確認してしっかり納税を行いましょう。

会社を設立する場合は、法人にかかる税金について知っておくことが非常に重要です。
税金を納めないままでいると、重いペナルティが課せられることもあるので、会社設立にかかる税金についてはしっかりチェックしておきましょう。

当記事では会社設立にかかる税金の種類や、算出方法について解説します。

会社設立にかかる税金の全種類

会社設立にかかる税金には主に5つの種類があります。

すべての会社に一律適用されるものもあれば、会社によって税率や税額が変わるものもあるので、会社設立の際にはしっかり確認しておくことが必要です。
それぞれ留意すべき注意点もあるので、この5つの税金についてみていきましょう。

法人税

会社を設立した場合、必ず課税されるのが法人税です。
法人税とは、会社の利益に対して課税されるもので、事業を始めた年度から納めなければなりません。

法人税は、個人事業主の所得税にあたるのですが、所得税の税率よりも高くないという特徴があります。
所得税の最高が45%なのに対し、法人税の最高は23.4%となっています。

たとえば、ある年の利益が800万円だった場合、所得税は23%、法人税は15%です。
法人税と所得税とでは、納税額が大きく変わることがわかるでしょう。

そのため、事業を立ち上げる場合、特に初年度から大きな利益が上げられる見込みがあるのならば法人化してしまった方がよいかもしれません。

法人住民税

法人税に加えて、会社設立後には法人住民税も納める必要があります。
法人住民税とは、会社が登記されている住所の都道府県や市町村に納める税金です。
こちらも法人税同様、事業年度の利益に対して課税されます。

法人事業税

法人事業税とは、事業を行うにあたって公共サービスを利用することに対して課税されます。
こちらも法人住民税と同様に、登記された住所がある都道府県に納税しなければなりません。
法人事業税は、法人住民税や法人税とは異なり、翌年度に損金として計上することが可能です。

消費税および地方消費税

消費税は生活に密着した税金ですが、法人に対しても商品やサービスに対して課税されます。
通常買い物をすると、消費税が消費者に課税されているように思いますが、実際には消費税を受け取っている法人に納税義務があります。

会社を設立後、基準期間がなく、期首資本金が1,000万円未満の場合には設立事業年度から1年間は消費税が免除されます。
さらに、課税売上高や給与支払額によっては2年目も消費税が免除となることもあります。

自動車税・固定資産税

会社として動産や不動産を所有している場合には、自動車税や固定資産税などを支払うこととなります。
特に固定資産税は基本的に1.4%と決められています。

土地家屋のみならず、償却資産に対しても1.4%の税率となります。

会社設立にかかる税金の算出方法

会社を設立すると、いくつもの税金を支払わなければなりません。
それぞれの税金の金額を算出する方法についてご紹介します。

法人税

法人税は事業年度の所得額に応じて税額が決まります。

資本金が1億円以下の法人では、所得額が800万円以下の部分に15%、適用除外事業者には19%の税率となります。
所得額が800万円を超える部分については、23.20%が税率です。
資本金が1億円を超える法人では、所得額の区分はなく一律23.20%が税率となります。

ただし上記の税率は、平成31年4月1日以降に法人登記した会社です。
平成28年4月1日以降に会社を設立した場合、平成30年4月1日以降に会社設立した場合には税率が変わるので注意が必要です。

たとえばある会社が平成31年4月1日以降に設立され、法人としての所得額が700万円だったとします。
すると法人税率は15%となるので、法人税額は、7,000,000×0.15=1,050,000円となります。

法人住民税

法人住民税の算出方法はやや難しいものです。
法人住民税は法人税割と均等割という2つの部分があります。

まず法人税割の金額は法人税額が基準となります。
法人税割では、超過税率と標準税率と呼ばれる不均一課税適用法人の税率とがあります。

東京都を例に取ると、資本金が出資金の金額が1億円を超えていたり、法人税額が年間1,000万円を超えていたりする場合には超過税率が適用されます。
東京都の場合、23区内に事業所がある企業は標準税率7.0%、超過税率は10.4%です。

一方、その他の市町村に事務所がある場合には標準税率が1.0%、超過税率2.0%となります。
均等割は、事務所がある市区町村、資本金額、従業員数などによって課税額が変わります。
均等割は税率ではなく、金額で決められているので、主たる事務所のある住所地の均等割額を確認しましょう。

さらに主たる事務所だけでなく従たる事務所がある場合には税額が変わるので注意が必要です。

法人事業税

法人事業税は、資本金や出資金の金額や年間の所得額によって標準税率と超過税率とに分かれています。

ただし、資本金が1億円以下、年間所得2,500万円以下の普通法人の場合には、税率がほぼ決まっています。
年間所得が400万円以下の部分は3.5%、400万円を超えて800万円以下の部分は5.3%、800万円を超える部分は7%です。

ただし資本金の金額や出資金の金額によって超過税率などが適用されることもあるので、特に資本金や出資金が多い場合には注意しましょう。

会社設立にかかる税金が免除される場合は?

会社設立にかかる税金にはいろいろな種類がありますが、条件を満たした場合には税金が免除されることがあります。
少しでも節税できるように、どんなケースで税金が免除されるか知っておくことが重要です。

所得がない場合

法人税は会社の利益、つまり所得に対して課税されるので、所得がない場合には法人税が免除されます。
ここでいう所得とは、売り上げから必要経費や控除額を差し引いたものです。

ただし決算書上は赤字であっても、法人税法上は所得があるというケースもあります。
赤字だからといって必ずしも法人税が免除になるわけではないことを覚えておきましょう。

消費税が免除されるケース

場合によって、消費税が免除されることもあります。
消費税の納税義務は、判定する事業年度の前々事業年度を基準期間として決められます。

つまり、新しく設立された会社は前々事業年度の実績がなく基準期間がないため、消費税は免除されます。
さらに基準期間の課税売上高が1,000万円未満の場合にも、その事業年度の消費税が免除されるのです。

まとめ

会社設立にかかる税金の種類や算出方法に通じておこう
会社設立にはさまざまな税金が必要となります。

個人であれ、法人であれ、納税を怠ると厳しいペナルティが課せられる恐れがあるので注意が必要です。
会社設立後には法人税や法人事業税、消費税などの納税義務があるので、きちんと必要な税金を把握して金額を計算するようにしましょう。

税務は会社設立時のみならず毎年決算という形で税務署等に届け出る必要があります。ご自身で行うことももちろんできますが、節税や適切な会計業務を考えると税理士に委託する方が多いように見受けられます。

なお、給与計算の際の源泉所得税や住民税。これは会社が支払うものではなく従業員から一旦預かって納付するため、会社に支払い義務はありませんが、納付義務はあります。
給与計算は税金のほかにも保険料の計算など非常に複雑です。
確実に給与計算をするためにも社会保険労務士や税理士に相談するといいでしょう。

お問い合わせ

東京都江東区の斉藤労務管理事務所は東京・千葉を拠点に人事・労務を中心に業務を行っている社会保険労務士事務所です。業務内容・料金などについては、お電話または、お問い合わせフォームよりお問い合わせください。
無料相談も受け付けております。お気軽にご相談ください。

お電話でのお問い合わせは

03-6457-1153

受付時間:9:00 - 18:00(土日祝・年末年始除く)