社労士通信

会社設立後の社会保険加入の必要性や手続き方法を徹底解説

2021年10月01日

会社を設立するための登記を行った後も、社会保険加入という大きな仕事が残っています。社会保険には健康保険や厚生年金、雇用保険、労災保険などの種類があり、それぞれに役割が異なります。社会保険に加入すべき条件や必要な書類もさまざまなので、しっかりチェックして加入するようにしましょう。

会社を設立するためには周到な準備と登記が必要ですが、会社を設立した後にもさまざまな手続きがあります。

その一つが社会保険への加入です。

当記事では会社を設立した後に行うべき社会保険の加入について解説します。

会社設立後の社会保険への加入は義務

会社設立後には、社会保険への加入が義務付けられています。
これは任意ではなく、義務です。

健康保険法第3条や厚生年金保険法第9条などにより、会社を設立した場合には社会保険に加入しなければなりません。
従業員がいない一人社長の場合でも、一定額以上の収入があるケースでは加入が義務付けられています。

社会保険には健康保険、厚生年金、労災保険、雇用保険、介護保険などの種類があり、万が一働けなくなってしまったりケガや病気になってしまったりしたときに補償を受けられます。

社会保険未加入のまま放置しているとトラブルになる

社会保険への加入は義務であるものの、未加入のまま状況を放置している企業もまれに存在します。
会社を設立しても社会保険に未加入の場合、まず年金事務所から加入の要請が来ます。

年金事務所からの加入要請を無視していると、今度は加入手続きを行うようにという警告文書が届きます。
この警告文書が届く前に加入の手続きを行うのが望ましいでしょう。
もし警告も無視し続けた場合は、立ち入り検査が実施され強制加入となります。

さらに最大2年にさかのぼって保険料を納付するよう求められます。
社会保険に未加入の状態は違法であるうえ、一度に多額の保険料を支払うのは大変です。

必ず前もって加入手続きをしておくようにしましょう。

会社設立後に加入する社会保険の種類

会社後に加入すべき社会保険にはいくつかの種類があります。
どの保険も社長本人や従業員を守るために非常に重要なものなので、加入手続きを怠らないようにしましょう。
会社設立後に加入する社会保険の種類についてご紹介します。

健康保険

社会保険としてもっとも有名なものの一つが健康保険です。
健康保険とは、医療給付や手当金などの支給のために必要となる社会保険です。

会社で働いている従業員が病気やけがをしたとき、亡くなったとき、病気やけがが原因で働けないときなどに適用されます。
さらに女性の場合には、出産で会社を休まなければならない場合などにも適用される保険です。

会社の従業員だけでなく、その家族も補償の対象となります。
従業員の家族の場合には、病気やけが、死亡、出産などのケースで補償されます。

健康保険では役員や正社員はもちろんのこと、パート・アルバイトであっても労働時間や労働日数が正社員の4分の3以上であれば加入対象となります。

さらに、一週間の所定労働時間が20時間以上、勤務期間が1年以上の見込み、月額賃金が88,000円以上などの条件を満たした場合には、パート・アルバイトの方が加入対象となります。

厚生年金

企業に勤務する労働者を対象とした公的年金制度が厚生年金です。
厚生年金は企業に常時雇用されている70歳未満の人が被保険者となります。

パート・アルバイトであっても、健康保険と同様の条件を満たした場合には加入対象となります。
厚生年金は国籍などにも関係なく被保険者となるので、外国人を雇用する方は注意が必要です。

労災保険

労災保険も、会社設立後に加入しなければならない社会保険の一つです。
労働者災害補償保険法に基づいた保険制度で、業務や通勤の際に負傷したり障害が残ったり、死亡してしまったりした場合に適用されます。

けがや病気の治療費や働けない間の給与を支払ってもらえる制度です。
正社員かパート・アルバイトかなどの雇用形態にかかわりなく、労働者を雇用している企業は加入しなければなりません。

保険料は企業側が全額支払わなければならない点にも注意しましょう。

雇用保険

従業員が失業した場合に金銭的なサポートを受けられるようにする社会保険が、雇用保険です。
失業した場合でも、その後数か月、最長1年間、前職の給与の一部を受け取ることができます。

1週間の所定労働時間が20時間以上、31日以上の雇用が見込まれるケースでは、すべての従業員が被保険者となります。
もし31日未満の期間で雇用する予定だったとしても、その後雇用期間が延長されたなら雇用保険に加入しなければなりません。

介護保険

介護保険は40歳以上の方が対象となる社会保険です。
65歳以上の第1号被保険者と、40歳から64歳までの第2号被保険者に分かれており、受けられる介護サービスに違いがあります。

会社設立後の社会保険加入に必要な書類

会社設立後の社会保険加入にはさまざまな書類が必要となります。
加入時にトラブルとならないように、それぞれの保険で必要な書類についてみていきましょう。

健康保険・厚生年金

健康保険で必要となる書類は、健康保険・厚生年金保険新規適用届、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届、健康保険被扶養者(異動)届の3種類です。

会社設立後に初めて健康保険や厚生年金に加入する場合にのみ、健康保険・厚生年金保険新規適用届が必要となります。
さらに従業員や役員に扶養家族がいるのであれば健康保険被扶養者(異動)届の提出が求められます。

労災保険

労災保険の加入に必要な書類は、保険関係成立届と労働保険概算保険料申告書の2つです。

保険関係成立届にはいくつかの添付書類があります。
会社の登記簿謄本、労務者名簿、賃金台帳、出勤簿、労働条件通知書、就業規則届、事業所の住所が記載された公共料金の請求書などです。

さらに労災保険では見込み給与額をもとに保険料を前払いしなければならないので、そのための申告書が必要となります。

雇用保険

雇用保険で必要となるのは、雇用保険適用事務所設置届と雇用保険被保険者資格取得届の2つです。
添付書類は営業許可証や会社の登記事項証明書などがあります。

さらに、必要に応じて賃金台帳や出勤簿の提出が求められる場合もあります。

会社設立後の社会保険加入手続きの方法

会社設立後の社会保険加入手続きは、基本的に必要書類を整えて提出することで行います。
ただし、社会保険の種類によって提出する先の機関が異なるので注意が必要です。

健康保険と厚生年金は、会社設立の登記完了後5日以内に管轄の年金事務所に必要書類を提出します。

雇用保険は登記完了後10日以内に会社所在地を管轄しているハローワークに書類を提出しなければなりません。

労災保険は、従業員を雇用した日の翌日から10日以内に必要書類を整えて都道府県の労働局に提出します。
いずれも書類に不備がないか、期限内に手続きが行えるか確認し、未加入の状態が発生しないよう注意しましょう。

まとめ

会社設立後はできるだけ早く社会保険加入の手続きを行おう
会社設立の登記を行うと一安心してしまいがちですが、社会保険の手続きも必ず行わなければなりません。

会社として順調なスタートを切るために、社会保険への加入をきちんと行うことが重要です。
未加入の状態になっていると、あとで大きなトラブルにつながりかねないので、できるだけ早めに社会保険の加入手続きを行うようにしましょう。

保険も税務と同様会社設立時だけで終わるものではありません。入社や退社のみならず、毎年1回必ず届け出る手続き、出産や育児といったライフイベント、従業員の傷病による休職など会社として行うべき手続きは非常に多くあります。
このようなときに役立つのが社会保険労務士です。
社労士と省略されることもありますが、社会保険労務士は人事・労務の専門家です。
会社を運営していくうえで様々な壁にぶつかることが多いでしょう。
その時の相談相手として社会保険労務士は非常に役に立ちます。

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